最終更新 2026.09.23
2026年4月15日から、在留資格「技術・人文知識・国際業務」(技人国)の申請に日本語能力を証する資料の提出が追加されました。 対象はカテゴリー3・4の企業、つまり多くの中小企業です。 技人国人材を中小企業に紹介している人材紹介会社にとって、提案できる候補者の要件が実質的に変わった変更です。
制度解説は行政書士の記事が多数ありますが、求人開拓の実務に何が起きるのかを整理したものは見当たりません。 この記事では入管庁の発表をもとに変更内容を確認し、営業面での影響を整理します。
01何が追加されたのか
出入国在留管理庁は、令和8年(2026年)4月15日以降、カテゴリー3または4に該当する場合に 「業務上使用する言語について、CEFR・B2相当の言語能力を有することを証する資料」の提出を求めることとしました。 あわせて「所属機関の代表者に関する申告書」も追加されています。
CEFR・B2相当と認められるのは、入管庁が挙げる次のいずれかです。
- JLPT(日本語能力試験)N2以上を取得していること
- BJTビジネス日本語能力テストで400点以上を取得していること
- 中長期在留者として20年以上本邦に在留していること
- 本邦の大学を卒業し、又は本邦の高等専門学校若しくは専修学校の専門課程若しくは専攻科を修了していること
- 我が国の義務教育を修了し高等学校を卒業していること
実務上の要点: 日本の大学・専門学校を卒業していれば要件を満たします。 つまり実質的に影響が大きいのは「海外の大学を卒業し、日本語資格を持たない候補者」です。 国内の留学生ルートと、海外からの直接採用ルートで、難易度が明確に分かれることになります。
02対象は「対人業務」に限られる
すべての技人国が対象になるわけではありません。追加提出が求められるのは 「日本語能力等の言語能力を用いた業務」、入管庁の表現では翻訳・通訳やホテルフロント業務等の接客が例示されています。 入管庁は4月15日にあわせて運用ガイドラインを一部改正し、対人業務の範囲を明確化する別添資料も公表しています。
| 業務の性質 | 日本語資料の追加提出 |
|---|---|
| 翻訳・通訳 | 対象 |
| ホテルフロント等の接客 | 対象 |
| その他、言語能力を用いた対人業務 | 対象 |
| カテゴリー1・2の企業への就労 | 原則対象外 |
※ 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」ページの記載にもとづく整理です。 個別案件の該当性は入管庁の最新のガイドライン・チェックシートで必ず確認してください。
03「カテゴリー3・4」とは誰のことか
技人国の申請では、受入企業が源泉徴収税額などに応じて4つのカテゴリーに分類されます。 カテゴリー1・2は上場企業や一定規模以上の企業、カテゴリー3・4はそれ以外、つまり中小企業や設立間もない企業が該当します。
ここが求人開拓上の要点です。人材紹介会社が新規開拓する受入企業の多くはカテゴリー3・4に入ります。 大手企業は自社採用の体制を持っていることが多く、紹介会社が開拓しやすいのは中小企業だからです。 今回の変更は、まさに紹介会社の主戦場に対してかかったことになります。
04求人開拓への影響
影響① 「求人は取れたが人を充てられない」が起きやすくなる
中小企業の対人業務(接客・通訳を含む職種)の求人を獲得しても、手持ちの候補者がN2相当の要件を満たさなければ提案できません。 求人開拓の成果が成約に結びつかない、という形で表面化します。
影響② 求人内容のヒアリング項目が増える
同じ「技人国」の求人でも、業務内容が対人業務を含むかどうかで難易度が変わります。 求人票の職種名だけでは判断できないため、実際の業務比率まで確認しないと、 後工程で不許可になるリスクを抱えたまま進むことになります。
影響③ 国内の留学生ルートの相対的な価値が上がる
日本の大学・専門学校の卒業者は要件を満たします。 海外からの直接採用と比べて、国内在学・卒業者を扱えることの優位性が高まったといえます。 求職者プールの構成が、そのまま開拓できる求人の幅を決めることになります。
05派遣形態の取扱いも更新されている
入管庁は令和8年7月13日に「申請人が派遣形態で就労する場合の取扱いについて」を更新し、 対応する誓約書も改定しています。技人国人材を派遣形態で受け入れる場合は、こちらも確認が必要です。
なお、民間の解説記事には「雇用理由書に専門性の高い業務を5項目以上列挙する必要がある」といった 具体的な運用に踏み込んだ記述も見られますが、入管庁の公表資料では確認できませんでした。 実務判断は必ず一次資料と、必要に応じて専門家への確認にもとづいて行ってください。
06まとめ
- 2026年4月15日から、カテゴリー3・4の技人国申請に日本語能力の証明資料が追加された
- 基準はCEFR B2相当(JLPT N2以上、BJT400点以上、日本の大学・専門学校卒業 等)
- 対象は対人業務(翻訳・通訳、接客等)。すべての技人国ではない
- カテゴリー3・4は中小企業=紹介会社の主戦場に直接かかる変更
- 求人票の職種名ではなく実際の業務内容まで確認しないと後工程でつまずく
手持ちの求職者の学歴・日本語レベルによって、開拓すべき求人の性質が変わります。 自社の求職者プールに照らして整理することをおすすめします。
- 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html