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なぜ受け入れ企業は
外国人採用に踏み切らないのか

外国人材の求人開拓で断られたとき、その理由を「今は必要ないと言われた」で終わらせていないでしょうか。 公的な調査を並べると、断りの言葉の裏にある構造が見えてきます。 この記事では、国の統計と民間調査から企業が外国人採用に踏み切らない理由を整理します。

01外国人を雇っていない企業は約8割

まず市場の全体像です。日本政策金融公庫が2024年9〜10月に実施した調査(有効回答3,000社超)では、 外国人従業員が「いる」と回答した中小企業は17.9%にとどまりました。 東京商工リサーチが2025年8月に実施した調査(6,459社)でも、78.2%が外国人労働者の雇用ゼロと回答しています。

企業規模による差も明確です。

従業者規模外国人を雇用している企業の割合
1〜19人8.4%
20〜49人31.7%
50人以上46.2%

※ 日本政策金融公庫「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月公表)

業種別では、未雇用の割合が医療・福祉93.6%、サービス業90.9%、小売業90.7%、建設業86.7%、製造業68.2%となっています。 まだ外国人を雇っていない企業が市場の大半を占めているというのが出発点です。

02企業が挙げる懸念

では、雇用している企業は何に困っているのか。厚生労働省の「2024年外国人雇用実態調査」と、 帝国データバンクが2025年8月に実施した調査(有効回答10,701社)の結果は次のとおりです。

企業が挙げる課題割合調査
スキルや語学などの教育55.8%帝国データバンク
コミュニケーション55.7%帝国データバンク
日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい43.9%厚生労働省
在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑24.7%厚生労働省
宗教による生活様式などの違いへの配慮24.3%帝国データバンク
在留資格によっては在留期間の上限がある21.5%厚生労働省

※ これらは「すでに雇用している企業」が挙げた課題です。未雇用企業の断り理由そのものではありませんが、 企業側が何を懸念しているかの手がかりになります。

03「日本人で足りている」は本当か

求人開拓で最も多く返ってくる言葉のひとつが「日本人で足りている」です。 ところが同じ公庫調査で人手の過不足を尋ねると、外国人を雇っていない企業でも正社員が「足りていない」と答えた割合は43.7%でした。 「足りている」は46.1%、「必要ない」は10.2%です。

  • 30歳未満の従業員が「足りていない」:56.6%
  • 専門的な知識や技術をもった人材が「足りていない」:54.5%

データが示していること: 外国人を雇っていない企業の約4割は人手が足りていない状態にあります。 つまり「日本人で足りている」という返答の多くは、人手が充足しているという事実の報告ではなく、 外国人採用を検討の対象に入れていないという状態を表している可能性が高いということです。

04断られる理由は「不要」ではなく「わからない」

ここまでの数字を並べると、ひとつの構造が浮かびます。

  • 人手は足りていない(非雇用企業の43.7%)
  • しかし外国人は雇っていない(中小企業の82.1%)
  • 雇っている企業の課題は「教育」「コミュニケーション」「手続きの煩雑さ」に集中している

未雇用企業にとって、外国人採用は必要がないから避けられているのではなく、運用イメージが持てないから選択肢に入っていない と考えるほうが、データとの整合性が取れます。 在留資格の手続きが煩雑であること、日本語や教育の体制を自社で用意できるか読めないこと。 これらはやらない理由ではなく、判断できない理由です。

05市場側の追い風

一方で、市場全体は動いています。帝国データバンクの調査では、 外国人労働者の採用を開始・拡大する意向のある企業は全体で14.3%。 業種別では「人材派遣・紹介」が36.6%で最も高く、各種商品小売29.5%、飲食店28.2%と続きます。

人材業界自体が外国人材の取り扱いを増やす方向にあるということは、 受入企業側の開拓競争は今後さらに激しくなることを意味します。 なお登録支援機関の登録数は2026年8月時点で1万件を超えており、 受入企業には複数の機関からアプローチが届いている状況です。

06まとめ — 求人開拓で確認すべきこと

  • 中小企業の8割以上が外国人未雇用。市場はまだ開拓されていない
  • ただし未雇用企業の43.7%は人手不足。ニーズがないわけではない
  • 企業の懸念は教育・コミュニケーション・手続きの煩雑さに集中している
  • 「日本人で足りている」は充足の報告ではなく、検討対象外であることの表明である可能性が高い
  • 人材業界全体が参入を強めており、開拓競争は激化する

どの業種・規模を優先するか、断られた企業をどう分類して再アプローチするかは、 貴社が扱う在留資格や求職者の構成によって変わります。 一般論では決めきれない部分なので、自社の状況に当てはめて設計することをおすすめします。

出典
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